おいでよ、嘘つきさん。
トリトマはサフィニアに力強く話します。


「兄貴、町を出よう!俺と兄貴、二人なら出られる!いや、二人じゃないと出られない」


サフィニアは、力無く答えます。


「もう、その話しは無しだ。絶対に無理なことだろ?トリトマ、現実を見ろよ。この町から出た奴なんか、今までいたか?」


「それは、町を出たいって意思が弱いからさ!俺は違う。こんな狂った町なんか、大嫌いだ!」


「おい、あんまり大きな声で話すなよ。もし、誰かに聞かれたらどうするんだ?」


「はぁー…。兄貴は、何でそんなに恐がりなんだ?そんなんじゃ、町も出られないぜ。」


「だから、出ないって言ってるだろ。トリトマも、諦めろ。」


「絶対に嫌だね。だって、こんな犯罪者だらけ…」


サフィニアは急に大きな声を出し、トリトマの言葉をさえぎります。


「黙れ!トリトマ、それ以上は口に出すな!」


トリトマは、思わず黙ってしまいます。

サフィニアの顔は、恐怖と怒りにみちているのです。


「縁起でもないことを軽々しく口に出すな。トリトマは軽薄すぎる。」


サフィニアは、トリトマを叱ります。

トリトマは、少し苛立ちました。
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