おいでよ、嘘つきさん。
「このガキ!」
男がオリーブを殴りました。
その瞬間、アザミは力が戻りオリーブの元へ走りました。
「やめて!あなたは何ですか!?いきなり、押し入ってオリーブを殴って!警察を呼びます!」

アザミは必死にオリーブの前に立ち、叫びました。

「オリーブ?こいつの名前か?」
男は睨み言いました。
アザミも睨み返し言います。
「ええ、そうです。オリーブです」

「ふざけるな!それは俺が買ったんだ!横取りするつもりだな!」

「大きな声を出さないで頂きたい。横取りだなんて。元々、私の家にいる子ですよ」

アザミはしれっと嘘をつきました。
男が叫びました。
「嘘いえ!それは俺の家のだ!金を払ったんだ、返せ!」

「証拠があるんですか?言い掛かりは止めて下さい。オリーブ、上に行ってなさい」

アザミがオリーブを見ると、可哀相なほど脅えて動けないオリーブがいました。
それを聞いた男は「返せ!」と、怒鳴ります。

その時、開いた扉の向こうに約束をした御夫妻が棒立ちになっているのをアザミが気付きました。
「最悪のタイミングだわ」

アザミは、力が抜けそうでしたが目の前の男の怒鳴り声がうるさくて、力なんて抜いてる場合ではありません。
アザミは大きな声で扉前の御夫妻に言いました。
「いらっしゃいませ。すみません、何だか知らない人が勝手に入ってきたんです」

すると、目の前の男がアザミを突き飛ばしたのです。

これには、御夫妻も驚きアザミへ駆け寄りました。

オリーブは、固まり動けません。
男は、オリーブをまた殴りました。
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