おいでよ、嘘つきさん。
男は、話し続けます。
「売人が言うには、こいつの家計は全員が奴隷なんだと。兄、姉、弟、妹、とにかく両親は売りまくって金を稼いでるんだとよ。だから、売人の間でも有名になっちまったんだ。伝統ある奴隷一族ってな」

あまりにも、淡々と話されてしまい御夫妻は唖然としています。
オリーブはアザミを見ました。
アザミは、汗を大量にかき様子がおかしいです。
オリーブは驚き「アザミ!?」と、言いました。
皆がアザミに注目します。
皆の目にもアザミが、奇妙にうつりました。

男が皮肉り言いました。
「よく、似てるな。お前も、伝統ある奴隷一族なんだろ?」

男は、ただの皮肉のつもりでした。
しかし、アザミは叫びます。
「嫌よ!嫌!!思い出させないで!!!」

冷静なアザミではなく、悲鳴のような声で騒ぎます。
「やめて!嫌!何で思い出させたの!?私は、自由よ!もう、やめて!!」

御夫妻は驚き固まりました。
男も、まさか一族だとは思わなかったので驚き固まりました。

アザミは泣き叫びます。
「誰も信じないわ!人間なんて汚い奴ばかりよ!!」
アザミは泣き崩れてしまいました。
すると、オリーブがアザミに言いました。
「泣かないでアザミ」

オリーブの声にアザミは少し反応しました。
オリーブは聞きました。

「アザミは…、僕のお姉さんですか?」

アザミはピタリと泣くのを止めました。

しばらく、沈黙が続きます。
アザミは、顔を上げオリーブに言いました。
「今、確信したわ。オリーブは私の弟よ」

オリーブは、驚いた顔です。
アザミは確かめるように言いました。
「もしかして、ってね。ずっと思っていたの。ごめんね、今まで黙ってて。オリーブは私の弟よ」

アザミはそう言うと、オリーブの頭を優しく撫でました。
オリーブは、驚いたままです。
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