おいでよ、嘘つきさん。
アザミは窮地に追い込まれます。

「何も証拠がない」

男を追い返す事で、頭がいっぱいだったため何も考えていなかったのです。

オリーブは、アザミを見つめています。
アザミも、オリーブを見つめます。
「何かあるはず!何か!」

しかし、101日前に拾った、これが事実なのです。
アザミは顔が青ざめていきます。


男は余裕の笑みを浮かべ、立ち上がろうてしました。

すると、御夫妻の奥様が言いました。

「よく似てますわ」

アザミは意味が分かりません。
奥様は続けます。
「髪は銀色、肌は真っ白、お二人とも、そっくりですわ」

アザミとオリーブは顔を見合わせました。
確かに似ています。
ご主人も言いました。
「うん、似てる。これだけ似るのは珍しいだろ」

アザミは驚きました。
何故か御夫妻が味方をしてくれていると気づいたからです。

男は座り直し言います。
「似てるとか、そんな馬鹿な理由があるか!こっちは契約書があるんだ。俺が正しい」

ご主人が答えました。
「その契約書内容だけで判断はできない」

アザミとオリーブは顔を見合わせたまま驚きました。

男は頭にきて怒鳴っています。
しかし、御夫妻は受け付けません。
確実にアザミとオリーブに幸運が向いてきました。

男は「チッ!」と大きな舌打ちをし睨みつけ言いました。
「だが、こいつは伝統ある奴隷一族だぞ」

御夫妻は、少し戸惑います。
男は、話しだしました。
「家の事をさせるのに、奴隷を買いに行ったのさ。お勧めを聞いたら、その時の売人が言ってやがった」

周りは静かに聞いています。
しかし、アザミだけが顔色が悪くなっています。
< 53 / 185 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop