おいでよ、嘘つきさん。
アザミは、冷静さを取り戻しました。
「ありがとう。オリーブ、もう大丈夫よ」

アザミは立ち上がり、オリーブの頭を撫でました。
アザミは思いつきました。
「そうだ、オリーブの髪を整えてあげるわ」

「本当ですか!嬉しいです」

すぐに、クシとハサミを用意し庭に出ました。
まだ、少し肌寒いですが日光がさすと暖かく気持ちの良い天気です。
今までの騒動が嘘のように感じます。

アザミは、ゆっくり丁寧に髪を整えます。
オリーブは何だか嬉しそうにしています。
アザミが聞きました。
「どうしたの?」

「嬉しくて我慢できません」

「あまり期待しないでよ。美容師じゃないんだから」

「違います。アザミがお姉さんだからです」

アザミは、手を止めました。
そして、言いました。
「なら、お姉さんって呼びなさい」

オリーブは、照れ笑いを浮かべるだけで言いません。

アザミも笑いながら、それ以上は何も言いませんでした。

銀色の髪が、綺麗に整いアザミは満足げです。
オリーブは慣れない髪型に違和感を感じ、手でさわっています。
アザミが鏡で見せてあげると、オリーブは目を輝かせました。
「何だか男らしくなりました!嬉しいです」

オリーブは、鏡で何度も自分の髪型を見て喜んでいます。
アザミも、そんなオリーブの様子に満足げです。

二人は、最後の一日を大切に過ごしました。
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