おいでよ、嘘つきさん。

更には、時が進むにつれ事件の恐ろしい記憶が薄れてきた町の人々は、面白い半分に噂します。


「話しが出来すぎているぞ。あれは、プルメリアが火をつけたんだ」


何とも非情な噂です。

プルメリアの耳には入らないよう注意してはいるものの、人々は事件を面白く語りだすのです。


「やっぱりプルメリアは嘘つきだ」


人間の心の汚い部分を丸出しに噂して笑うのです。


しかし、そんな人々だけではありません。

プルメリアを庇う人々も、ちゃんといたのです。


「そんな惨い話しは止めなさい。プルメリアの気持ちを考えろ」


これは正義の言葉。


しかし、正義の言葉より非情な言葉を人々は好むのです。


町では、プルメリアが嘘つきか、真人間か…。


この二つの意見で割れます。


しかし、この二つの意見も裏側にはプルメリアへの恐れが隠れているのです。


非情な言葉は、プルメリアへの恐れを紛らわすため。

正義の言葉は、プルメリアの機嫌を取るため。


どちらにしても、良い意味のものではありませんでした。
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