※公開終了間近! イロモノなアタシ
エピローグ
箱根でのお泊りでのチャンスを逃し、それ以来はネットカフェや店でお客様としてのデートを続けるしかなくなったけれど、あたしと敬介はラブラブだ。


でも、卒業に向けて日々はどんどん過ぎて行き、気づけば2度目のクリスマスにお正月を迎え、卒論も無事に提出し……3月。


いよいよ、卒業。


卒業式の日は、思ったよりも早く訪れた。


「志穂ちゃん! 早くなさいっ! 」


この日のために仕立てた黒の御所車刺繍の京友禅を身にまとい、お父さんが叫ぶ。


ヘアスタイルや、化粧を見るとなんだか『極道の妻』だ。


あたしは、矢絣の着物に下は袴、そしてブーツと、定番中の定番。


「おリボン位したらどうなのよ」
「そんなの目立つし、やだ」


そう、鏡に映った自分の姿は、チンチクリンで道行く人の笑いを誘いそう。
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