※公開終了間近! イロモノなアタシ
「ほら、行くわよ」


タクシーに乗り込み、大学前に乗りつけると着物姿の学生であふれ返っている。


綾女もほぼ同時に、黒ベンツでご登場だ。


「志穂ちゃーん」


駆け寄るなって、その全身ピンクの可愛らしい着物で。


うーん、こんな姿で来ているのを見ると、あんな声で……いや、思い出すのは止めよう。


「大沢さんの奥様、お久しぶりですわねー」
「あらっ、綾女ちゃんのお母様。まあ、素敵なお召し物で」


互いをホメちぎるオバさんとオジさんを放置し、ホールへと急ぐ。


とにかく卒業証書を手にしないと、何にも始まらない。


あたしの仕事も、敬介との未来も。
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