※公開終了間近! イロモノなアタシ
「あの……」
「家はどこ? 」


一瞬、からかわれてるよ、絶対に! と思ったけれど、何かが違う。


彼が、そんないやらしさを感じさせない瞳をキラキラさせながら聞いて来たから。


「いいから、家は? 」
「じゃあ……」


結局、家に無事送り届けられたけれど、あたしはこの日から彼の顔を見る度に胸が変に騒ぐようになってしまった。


バラエティを観れば彼、CMを見れば彼、雑誌を見れば彼、電車の中吊りを見れば彼。


彼の洪水、そう、売れっ子芸人だから。


こんなに人気のある人と、付き合えるワケ無いのに。


デブスでデブゲイのフリをした、あたしが。
< 48 / 386 >

この作品をシェア

pagetop