オンライン中毒
 高橋と話していると、気持ちがスッと落ち着く。


流石一流の医者だ。私の不安の元を、小石を取り除くかのように、簡単に成し遂げる。頭痛薬よりもこちらのほうがずっと効く。


ロッカーへまずは向かい、私服へ着替えた。野暮ったい半そでの赤のチェックのシャツに紺のジーパン、書籍の付録についているブランドの小さなバックを持った。


貯金の為に、数少ない洋服を回して着こなし、たまに恥ずかしくなると同時に夫を憎んだ。


――いけない。また心が塞込んでしまう。その前に診療所に行かなくては。


心療内科はここからは近く、病院の一番奥、目立たない場所にある。

高橋の太った巨体のシルエットを思い出す。


――痩せれば優しいし、もてるだろうに。
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