オンライン中毒
 患者が落ち着く、ユーカリの爽やかな匂いがするあの部屋に近づいた。小さな受付窓口には看護婦が一人しか居なかった。


「高橋先生いらっしゃいますか? 今日は早退になりまして、その前に少しだけ、お話しがしたくて来ちゃったんです」


「事務の山田さんね! 高橋先生はもうお食事に行かれましたよ。あ、丁度良かった! 書類が一つ足りなくって、取りに行きたかったの。

少しだけで良いから、窓口を見てて貰えない?」


「いいですよ」


「助かるー! すぐ戻ってくるから!」


看護婦の佐藤は、私の肩をぽんっと気安く触り、小走りで去って行った。
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