最後の血肉晩餐
「知っています。SNSサイトですね。あれって便利ですよね」


三つのグラスにワインを注ぐ。今日のワインはガーネットのようにどす黒く感じた。


「一先ず、乾杯しましょう!」


「かんぱーい!」


水戸を見つめた。喉仏が動いてる。一気に飲み干している。無垢だけじゃなく、男っぽい所もちゃんとあるんだ……。


「良い飲みっぷりですね! 素敵。水戸さんってもてるでしょう。どんどん飲んで」


「もてないですよ! 頂きます!」


シスターがこちらを睨んでいる。なぜ、睡眠薬を入れなかったの顔だ。


「相談にのっていたら、本当に水戸さんって良い人なのよねぇー女に騙されて、貯金を奪われたこともあったんですってぇ! 酷い事をする人もいるもんよねぇ? 恵美さんは心配ないわよぉー。優しいし、お勧めよぉ」


私は水戸の横顔を、右手でそっと触り、包んだ。本当に似ている。


「恵美さん? どうしました?」


「……ううん。タイプの人がいきなり現れるなんて、びっくりしているの」


「恵美さんの手……暖かいですね」


ついつい潤んだ眼で見つめてしまう。彼じゃないというのに――。


「あ、いっけない。お肉やサラダもどうぞ」


「――恵美さん良かったら、お友達でもいいからお付き合いしてみませんか?」


――グウウウウウウウ……。
< 640 / 672 >

この作品をシェア

pagetop