【完】隣の家のオオカミさん
高校受験間近という時期に事は起こった。
まだ中学三年生。
まだ子どもだった俺たち。
重すぎる現実をどうやって受け止めればいいのか俺にはわからなかった。
彼女である美里にどうやって接していけばいいか戸惑った。
助けて、とも言わないし、なにも喋らなくなった美里の隣にただ一緒にいることしかできなかった。
華奢なその手はいつも震えていて強く握ることはできなかった。
美里が壊れていきそう。
───ずっと一緒にいるから。俺が守ってやるから。
これしか言えなくて。
でも、この言葉は本心だった。
美里は毎回少し微笑んで小さく頷いてくれていた。