【完】隣の家のオオカミさん


一度部屋のチャイムを鳴らしてみるが誰も出てくる気配なし。

だけど、微かに物音が聞こえた気がした。


日向子がドアの向こう側にいることを信じて。



「……美里が俺のとこに泊まってたのはあいつストーカーに遭ってるぽくて自分の家に帰れなくなったんだ。だから仕方なく泊めてやった。まじでなんもねぇから」



返答はない。

だけど、話し続ける。



「美里は中学ん時、両親を亡くした。誰も頼る人がいなくて……」



俺はなんの話をしてるんだ?

頼って欲しかったんだよ、な。
洸汰じゃなくて俺を頼って欲しかった。


なんで今、俺を頼って来んだよ…
断れない俺も俺だ。


振り回されてるのは俺か?

美里に振り回されてんのか?


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