腕枕で眠らせて



今日はこの後は予定はありません。と、水嶋さんはらしからぬはにかんだ表情で言った。


そしてその後、「でも、お気持ちだけで充分ですから僕に御馳走させて下さい」と、実にらしい台詞を付け加えた。



「ダメです。水嶋さんにはお世話になりっぱなしなんだから、たまには私に返させて下さい」



少し距離を置こうって、さっきまで思ってたけど。

でも、散々お世話になっていっつもお茶も御馳走になって素敵なお土産までもらったりして。

そんな人の誕生日が今日って知って、無関心でいられるほど私クールじゃない。



「和洋中、何が好きですか」


「僕は何でも好きです。鈴原さんのお好きな物で選んで下さい」


「ダメです。今日は水嶋さんが主役です。たまにはワガママ言ってください」


「じゃあ、和食で」


やっと少し観念してくれた水嶋さんは、やっぱりはにかんだように鼻を掻きながら言った。



< 112 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop