腕枕で眠らせて
「お誕生日だったんですか?水嶋さん!」
驚いて声を上げてしまった。
「はは、今日から三十路です」
店員さんから小箱を受け取りながら、恥ずかしそうに水嶋さんが言う。
「ええっ、やだ、言ってくださいよ!」
私ってば、ビジネスの話をお断りしただけじゃなく誕生日の人にお茶まで奢らせて。
ああもう。こんなのあまりにも自分がヤダ。
店員さんからお釣りを受け取り頭を下げて歩き出そうとした水嶋さんの腕を、私は後ろからギュッと掴んだ。
「水嶋さん!今日、この後お時間ありますか?無ければ来週でもいいです!」
「えっ?」
「晩ごはん、ご馳走させて下さい!このままじゃ私の気が済みません!」
いつもとても穏やかな人が、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をした。