腕枕で眠らせて
景色を一望出来る場所に備え付けられたベンチと木のテーブルに、私たちは持ってきたシャンパンとケーキを広げた。
白い息と一緒に「メリークリスマス」を唱える。
静寂の公園にカチンとシャンパングラスの触れ合う音が響いた。
星を溶かし込んだような色のシャンパンはピカピカと遊ぶように泡を弾けさせている。
「わあ、美味しい。本格的」
「ノンアルコールで申し訳ないですけど、気に入ってもらえて良かった」
うーん、さすが紗和己さん。何を選ばせてもセンスがいい。
「ケーキとっても美味しいですよ。手作りってスゴいですね」
「そうかな。紗和己さんならケーキも作れちゃいそう」
「ケーキはさすがに無いなぁ。やっぱりケーキは女の人が焼いた方が美味しいと思いますよ」
「えーじゃあパティシエさんの焼いたケーキは?」
「あ、そうか。じゃあ今の取り消しで」
クスクスと、光と静寂の公園にふたりの笑い声が響いた。
短い時間で、豪華でも派手でも無いけれど
世界一甘いクリスマスだと思った。
「あれ?鐘が聴こえる?」
「あそこ、ほら、教会があるんですよ。今、ちょうどイブから聖夜に日付が変わったから」
「わあ、なんかロマンチック…って、もしかして紗和己さん分かっててここ選んだ?」
「勿論。ロマンチストですから」
世界一幸せなクリスマスだと思った。