腕枕で眠らせて







チリンチリンと、ドアベルを鳴らして扉を開くと

「いらっしゃいませ」

の優しくて低い声が響いた。



その声の主が、レジカウンターからこちらを見てその顔に驚きを浮かべる。


「…美織さん…」


「き、来ちゃった…」


会いに行くと言った紗和己さんの申し出を断っておきながら、数時間後にこうしてのこのこと【pauze】まで連絡も無しにやって来たんだから驚かれて当然だ。



目をぱちくりしてる紗和己さんの様子に、店内にいた他の従業員らしき子も何事かとこちらを見た。


「オーナー、知り合いですか?」


アルバイトだろうか、高校生ぐらいの従業員の子が二人、私と紗和己さんを見やってそう尋ねた。


「…ええ、鈴原美織さん。うちで扱ってるサンキャッチャーの製作者で…僕のお付き合いしてる方です」


「ええーっ!!?」


紗和己さんの言葉に、従業員の子が二人揃って声を上げた。

店内にいたお客さんが振り返って、慌てて二人口をつぐむ。


紗和己さんがお客さんにペコリと頭を下げてから、従業員の二人に「コラ」と言って口元に人差し指を当てた。



< 191 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop