腕枕で眠らせて
「すみませーん。だって~超驚いたんだもん~」
「ねーっ、だって、えーっ?スゴいびっくりー」
キョロキョロと私と紗和己さんを交互に見ながら驚きを露にしてる若い従業員に、困った顔で笑いながら
「すみません鈴原さん、失礼な従業員で。アルバイトの春日さんと松田さん、高校生です」
と紗和己さんは二人を紹介してくれた。
ペコリと腰を折った私に、高校生たちも礼儀正しくそれを返してくれはしたものの、彼女たちの瞳から好奇心の色が消えることは無い。
挨拶を済ませると二人はこちらを気にしながらもエプロンの紐をモゾモゾ結び直したりしながら再び商品補充の作業に戻っていった。
同時に店内にいたお客さんがレジで支払いをすませ、紗和己さんの「ありがとうございました」の声に見送られて外へ出る。
「美織さん」
周りに誰も居なくなったのを待ちわびてたかのように、紗和己さんが私を呼んだ。
「どうかしましたか。今日の美織さん、なんだか…」
「ち、違うんです。あの、ちょっと退屈だったから来ただけ」
真摯な表情に、卑下た笑顔を返した。
紗和己さんの瞳はそんな醜い私を映しても尚まっすぐで。それに責められる後ろめたさと、それに救われる情けなさが私の中に同居する。
「美織さん、あと30分だけ待ってて下さい。夕勤の山下さんが来たら僕、あがれるんで」
捲ったシャツから覗く手首の腕時計を見ながら紗和己さんが言った。
腕時計の似合う引き締まった手首に、彼らしい男くささを感じながら私は無言で頷いた。