腕枕で眠らせて



それでも。


濁りたくない。あの人が透明にしてくれた心を。


だから、私は笑う。例えその形が歪で卑屈でも。


「玉城さん、オープニングからの店長さんですもんね。それは水嶋さんも頼りにしますよね」


「ええ、まあ。…って言うか」




冬の晴れ空は、何処までも青く。


青く。青く。怖いほど澄みきって。




「私たち、去年まで付き合ってたから」





青く。青く。青く。青く。真っ暗なほど青く。

私の上に広がる。




「オーナーに聞いて無かった?言わない方が良かったかな。元カノが同じ職場でいつも一緒って面白くないものね。

でも、ま、昔の事だから私は引き摺ってないけど。隠す方がなんかやましいじゃない」




カラカラと青空に響く笑い声が、私の中に反響する。



木霊のように反響して



パリンと、心が砕けた。




『大学以降は女性とお付き合いして ません。美織さんだけです』




粉々に砕けた心は


もう、戻らない。










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