腕枕で眠らせて
「…ふふ、ふふふ。紗和己さんロマンチストだもんね。
でも、『サワちゃん』の思い出は私の中でもっとステキな思い出になりましたよ」
「本当ですか?」
「うん。私、本当の『サワちゃん』に会えて良かった。サンキャッチャー作り続けて本当に良かった」
心からそう思う。
今、目の前の紗和己さんを見て。
私が作り続けてきたものは、間違って無かったって。
自分を、信じてあげられる。
たくさんの嬉しさを抱えきれなくて笑顔が零れる私に、紗和己さんも目を細めた。
車には静かにステレオからボサノバが流れてる。
麗らかな春の日に。甘く穏やかな幸せが流れる。
「どこも桜が満開ですね。少しお花見して行きましょうか」
「わあ、賛成」
車のキーに付けたストラップが、ゆらゆらオレンジの光と遊んでる。
「…その前に、美織さん」
「はい?」
「……やっぱりもう一回…キスしてもいいですか?」
桜舞う春の空は
甘い甘い、恋の色。
咲きたての、恋の色。