腕枕で眠らせて
……旅の解放感、なのかな。
紗和己さんがいつもと少し違うような気がするのは。
私みたいに景色や雪にいちいちはしゃいだりはしないけど、でも、ただ。
「…紗和己さん…そろそろ晩御飯来ちゃうよ…」
「…もう少しだけ」
こんなに肉食獣な紗和己さん、初めて。
旅の解放感ならいいと思う。彼の意外な一面を知る事が出来て。
でも。
どうしても過ってしまう出発前の出来事。
もしもあの事が紗和己さんをどこか不安にさせてるんだとしたら。
「…美織さん…」
私は申し訳なさでいっぱいになって、この優しいキスでさえどう受け止めたらいいのか分からない。
私、紗和己さんに悲しい思いをさせたくない。不安にさせたくない。
恋に傷付く痛さは知っているから、紗和己さんに絶対そんな思いはさせたくない。
「ねえ紗和己さん。私、また紗和己さんとここに来たい。ううん、絶対来るよ」
「どうしたんですか美織さん、急に」
「だって。紗和己さんといっぱい約束がしたいの」
信じてって、容易く言えるほど私はまだ強くないから。
だから沢山の約束を紡いで、一緒の未来が見たい。
きっと何があっても貴方への想いが揺らぎない事を伝えたいから。
一緒に沢山の未来を約束しよう。
「そうですね。また来ましょう…一緒に」
「うん。ずっとずっと、何回でも来ようね」
静かに雪の降る海を眺めて、ふたり温もりを重ねながら誓った。
それが紗和己さんの安らぎになりますようにと願いながら。