腕枕で眠らせて

2



<<2>>




冬はまだまだ続く。



温泉旅行から帰って2日後。
空は今日も曇天模様。


なんだか今年の冬は曇りが多い気がする。

早く春にならないかな。キラキラの陽射しが懐かしい。



自分の部屋の窓からグルルと唸りをあげそうな鼠色の雲を眺めていると、ふいにスマートフォンが電話の着信を報せた。


表示画面には久方ぶりの友の名前。


「もしもし?愛子?」

「もしもしー、美織?久しぶりー!」


元気そうで何より。


相変わらず仕事を忙しく頑張ったり時々愚痴を言ったりしながらも、愛子は毎日を満喫している様子。


「ねえ、今夜呑みに行かない?」


わあ。行く行く行く行く。


相変わらず対人関係の狭い私のこの仕事。貴重な女友達との憩いの時間を逃すわけにはいかない。



愛子の誘いに嬉しく返事をかえし、電話を終えた後は早々に呑みに行く準備を始めた。まだお昼前だけど。はしゃぎ過ぎかな。





< 253 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop