腕枕で眠らせて
そう思えたのは紗和己さん。
貴方が居てくれたから。
強くなりたいって。
そう思える私に成長させてくれたから。
「…でも、なかなか簡単には割り切れなかったりするけど」
一生懸命伝えたせいか滲んできた涙を誤魔化すように、最後に笑ってみせた。
私はまだ強くないから、きっとすぐには上手くいかない。
でも、紗和己さん。これからも貴方が隣に居てくれるなら。
そう思って、滲んだ雫を拭って顔を上げた。
けれど。
「……それは、人によると思いますよ」
コーヒーの湯気の向こうで、紗和己さんは穏やかに低く言った。
「過去の傷を乗り越えようとして、今の自分が傷付いたり苦しんでたりしたら、それは本末転倒じゃないですか?」
……それは、正しいと思う。
まちがってないと思う。でも。
「…そう、かもしれない…でも」
言い淀む私に紗和己さんは
「…もう休みましょう。泊まって行きますよね?お風呂、用意してきます」
そう言って席を立ちダイニングから出ていってしまった。