腕枕で眠らせて



ワケが分からない。


私の頭はさっきのかき混ぜたココア並みにグルグル渦巻いている。パニックだ。



「何してるの!?こんなとこで!」


「説明は後、とりあえず中入れて。俺ずぶ濡れなんだよ。寒くて死ぬ」


そう訴えてきた楷斗は確かに着てるスーツの色が変わる程、べっしょり濡れ鼠の姿でカメラに映ってる。


「ちょっと待ってよ、そんな事言われても!」


「いいから早く。洒落になんないくらいさみーんだから」


言ってからひとつクシャミをした楷斗は、腕で自分を抱きしめながらブルブルと震えてる。



ああ、どうしよう。ワケ分からない。

でも、ずぶ濡れで凍えてるのは確かだし。

ほっといても死にはしないだろうけど、でも、風邪ひいて肺炎ぐらいにはなるかも。

わあ、なんか顔色青くなってきてない?


ああもう、どうしよう。どうしよう。



「マジで頼む。助けて」



……なんて世話の焼けるヤツ!!!



私は廊下を足音をたててバタバタ走ると、玄関の鍵を開けて力任せにドアを開いた。





< 270 / 285 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop