腕枕で眠らせて








暖かい日と涼しい日を繰り返しながら春は過ぎて


季節は段々と移ろっていく。







「これがメールでお話した新作です。新しい試みなのでちょっと不安なんですけど…」


「ああ、これはロマンチックですね。サンキャッチャーと言うよりムーンキャッチャーって感じがします」


「それ、まんまじゃないですか。ふふ」



クスクスと笑う私の手の中には、銅板で作った三日月にクリスタル硝子を連ねた新しいデザインのサンキャッチャー…ムーンキャッチャー?



「ライトやロウソクの灯りを反射させる事を前提にして置き型にしてあります。普通のサンキャッチャーほどキラキラはしないけど、これなら落ち着いたレストランやバーにも置けるかなって。

…以前水嶋さん、インテリア小物をお求めの飲食店のお客さんが結構いらっしゃるって言ってたから…」


「覚えててくれたんですね。嬉しいです」


水嶋さんがニコリと目を細めて、揺れる硝子をそっと指で撫でた。


「うん、本当に綺麗だ。ロマンチックでいいムードが演出出来るでしょうね。飲食店だけじゃなく女性やカップルにも人気が出そうです。凄いですね、鈴原さん」


屈託なく褒められて少し照れる。口角がムズムズ上がっちゃう。


「ふふ。もしこれが恋人達の素敵な時間を後押し出来たらって思うと、凄く嬉しくなっちゃいますね」



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