腕枕で眠らせて



「あ、もうこんな時間ですね」


挙動不審の私を気にすることなく、水嶋さんは薄暗い店内の時計を見て言った。



時刻は21時過ぎ。お店はとっくに閉店していて水嶋さんと私のやりとりに構わず玉城さんが閉店作業をしている。


どうしても新商品を実際に見てもらって意見が欲しかった私は、忙しい水嶋さんが店に来る時間を聞いて閉店後にのこのこやって来たのだ。



「じゃあ私、帰りますね。お忙しいところすみませんでした」

納品書を鞄にしまいながら頭を下げた私に

「送りますよ、鈴原さん」

とても当たり前の事のように水嶋さんが言う。


「大丈夫ですよ、まだそんなに遅くないし」

メールで済ませられなくも無い案件を、自分のわがままな希望で押し掛けて来たんだもの。

これ以上、多忙の水嶋さんの手を煩わせられない。


「大丈夫じゃないですよ。夜、一人で鈴原さんを帰らせて何かあったら僕が後悔します」


水嶋さん、過保護。
こちとらもう立派な大人ですよ?


けど。


あ、この人、私を大切にしてる、って
感じちゃった胸は少しだけあったかい。




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