血染めの鎖


その日、リークは半日を村長の家で過ごした。

ごちゃごちゃとする脳を整理するだけでなく、リークはトルガの心配もしていたのだ。


どれだけ一緒にいたか。

アホの子としか言いようのない、まだ幼き少女。

彼女との出会いは、必然か偶然か。

『運命』だなんてとても。
自分たちには不似合いな言葉で。



「あのアホ……。まだ死ぬなよ。僕たちはまだ始まってもいないんだから」



そう、目を瞑りポツリと呟いた言葉は。うっすらと部屋にさしこむ夕の日に、静かに溶け混むのであった。


リークとトルガ。

その出会いはただの偶然に過ぎない。

敢えて含みつ云うならば、


其、『運命』と云わんとす。

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