そして 君は 恋に落ちた。

そんな、私と瀬川君のやりとりを聞いていた同僚達。

……特に、女の子達は引き出しからファンデーションを取り出しいそいそと美綺麗にし始めた。


それを見た瀬川君は小さく「無理…」と呟く。



「さ、行きましょ」


これ以上彼に付き合ってられない。

いいんですか?と尚も気にする鈴木君の袖口をクイと引っ張り、その場から離れる。


後ろからは、


「松田頼む!これやってくれー」


瀬川君の声が響いていた。







「いいかな?
 ここにアルファベット書いてあるでしょ?手前から1、2、3…と続いてるの」


「すみません。僕、確かに教わったはずなんですけど…」


「大丈夫よ。次出来れば」



埃っぽい倉庫。

必要なファイルを探す彼を待ちながら、私も意味もなくそこら辺のファイルを引き抜く。


「鍵閉めておきますよ?」


「ああ、気にしないで。私も見たいだけだから」



鈴木君は私を待たせていると思い少し急ぐ。

その姿を視界の端で感じながら、パラパラと見ていく。

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