そして 君は 恋に落ちた。



「美和さん…?」



ほら。だから未だに―――

彼の瞳に、声に、
私の心は不安の渦が巻き起こる。





「泣きそうな顔になってるよ」


私の心の渦に何となく気付いた彼がフッと笑いながら手を伸ばしてきた。



「何が悲しいの?」

言って頬を優しく撫でるその手に、縋りたくて―――



ガタ――ンッ

「美和さん…っ?」


椅子を盛大に倒しながら彼に抱きついた。




「……っ」

「美和さん…?

 ハハッ 何、また泣いてるの?」


椅子に座ったままの彼の首に腕を絡めて。

泣き顔なんて見られなくなくてガッチリ抱き締めた私に、彼は仕方ないとばかりに背中を優しくトントンと叩いてくれた。


それが、心地よくて。

乱れた気持ちがゆっくり落ち着いてくる。


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