そして 君は 恋に落ちた。

「松田君青好きなんだ!」

「てか、なんで地味子に?」

「もっと色物着ろって意味じゃない?」


小さく。でも確実に聞こえる声で文句言う彼女達に溜息を吐いた。



「松田君は青が好きなんだね!
 私も着てみようかな〜」

彼の隣にいる女の子が上目遣いで言ったのを聞いていた他の子も、次々と便乗する。


……大変だな。松田君。



「あと5分で休憩終わりよ。

 そろそろ職場に戻りなさい」


松田君に近い年の子ばかりの集団。
私の言葉に「偉そうに…」と言いながら休憩室から出て行く。

私は彼女達が飲んでいた缶や紙コップを片づけた。
それを見ていた松田君も、黙って手伝ってくれる。



「……すみません。俺のせいですよね」


言われて彼を見ると、その鷲色の瞳は私を映していて。

私はゆっくり目を伏せて手元を見た。



「大丈夫よ。松田君もデスクに戻りなさい」

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