くまのまーくんのお話
「ううん。そんなことないよー。いつもと同じ味だよー」


まーくんは夢中でおむすびをむさぼりました。


「それを食べ終わったら、出発しようね」

「ん?どこかに行くの?」

「遠い遠いお空の向こう。もう、あたし達はここにはいられないんだよ」

「…そうなの?」

「うん。まーくんのお母さんもそこで待ってるよ」

「えー!ほんとぉ?」

「うん」


それを聞き、まーくんは食べかけのおむすびを銀色の皮で包み直しました。


「おや?もう食べないのかい?」

「うん」


コックリと頷き、まーくんは笑顔で言いました。


「お母さんにも、おばあちゃんの美味しいおむすび、分けてあげるんだー」


それを聞いて、おばあさんはとっても嬉しそうに微笑みました。


「それじゃあそろそろ行こうかね」

「うん。いこういこう!」


まーくんは元気にそう言いながら立ち上がりました。


美味しいおむすびを作り出す、小さくて温かいおばあさんの右手と、自分の左手とをしっかり繋いで。


ゴールでお母さんが待ってくれているという、楽しい楽しい旅へと、まーくんは出発したのでした。
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