潔癖症の彼は、キスができるのですか?
「俺の前で他の男の名前、言わないでくれる?」
「へ? あ、うん。分かった」
「あと、好きな女の子なら、何でも平気。不思議だね。他のやつは気持ち悪いのに」
そう言うと、大窪くんが私の両頬を手で包んだ。
「――琴音なら、逆にしたくなる」
気付いたら、私の唇は大窪くんと重なっていて。
普段するキスより、明らかに激しくて。目を閉じて、大窪くんの胸元のシャツにしがみつくのが精一杯。顔の角度を何度も変えて、少しだけ唇を大窪くんが離した。
目をゆっくりと開ける私。自然と目が合うふたり。顔が熱い。ううん。体中が心臓になったみたいに、ドキドキがうるさい。それは、大窪くんも同じかのように、大窪くんの頬に触れる指先が熱い。
私を愛おしむような瞳に見つめられて。
もう、言葉なんていらなかった。再び、唇が重なった時、私の口内に大窪くんの舌が入ってきた。