潔癖症の彼は、キスができるのですか?
こんなキスなんて、知らない。
突然侵入してきた柔らかなものに、戸惑って舌を奥に引っ込めると、大窪くんは許さないとばかりに私の舌を絡みとった。
少しずつ、口の奥まで侵入した舌は、私の歯列をなぞった。僅かに開いた唇の隙間から、吐息がもれる。
「……イヤじゃない?」
丹念に口の中をかき回され、やっと唇を開放されたと思えば、そんなことを聞いてきた。私はすっかり、とろけてしまった目で大窪くんを見つめて、顔を横に小さく振った。
「ん……頭、おかしくなりそう……」
「そんなの……」
頭の中は、好きって気持ちだけ。もっと、もっと。大窪くんと近づいていたい。それだけで、いっぱい。
「――俺はとっくに、琴音が好きすぎて狂ってるよ」
その言葉とともに、また唇を塞がれた。