ライオンさんのペット
「服、ですか?」


「ご実家にあった服は殆どこちらにはお持ちしませんでしたので。」


「はあ…」


確かに、バックの中の服はお気に入りのトレーナーとデニムパンツくらいしか入ってなかった。

けれど、元々私服は多くない方だし、何より遊びに行く時は大抵制服だから、服が少ないことで困ったこともない。

だから、これからの服のことは全くと言っていい程考えていなかった自分に相反して、和雅さんはそんなことまで考えてくれている。やはり優しい人なのだろうか?



「この機会に和雅様にたくさん買って頂くと良いですよ。」


「ですが、そこまでして頂くのは…」



申し訳ないと言おうとしたが…



「瑠唯様は和雅様のペットなのですから、甘えてしまえば良いんですよ。」



「甘えると言われましても…」



甘えて良いものか分からないし、それに甘えるにしてもどう甘えて良いのか分からない。



「それに、瑠唯様の格好や品位・行動は和雅様の評価にも繋がってきますから、心に留めておいて下さい。」



「わ、分かりました。」



ペットとしての心構えを軽く諌められたような気がした…


和雅さんの近くに"いる"ということは結構大変なことなんだ…




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