止まない雨はない
でも、今日は違っていた・・・

待ち合わせの時間から15分が経過した頃、私の目の前に男性が座った。


「ねえ。ひとり?」


私は何を言われているのか分からなかった。
違う…言われている言葉を理解することはできた。
でも、どうして私に声をかけてきたのだろうか?


『いえ。違います。待ち合わせしているので、すいません』


私はそういうのが精いっぱいだった。


でも目の前の男の人はそれであきらめてくれなくて・・・



「そっか。でももう少しましな嘘にしたら?
 さっきからずっと見てたけど、携帯見たりしないし・・・
 それに、もし本当に待ち合わせなら、もう来ないんじゃないの?
 もう何分待ってるのさ?」



男の人にそう言われて…確かに、待っているのはすでに長い時間になる。
今日は仕事が本当に定時に終わって、恭哉さんとの待ち合わせ時間まで一時間近くあった、
それに輪をかけて、恭哉さんが仕事で遅れるとの連絡があったから…
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