止まない雨はない
コンコン

『失礼します』


私は一礼して、会議室に入ると、部長とお客さまが二人向かい合わせに座っていた。
テーブルの横に周りお茶をお客様の前に置き、そのあと部長の前のおく。
基本、お茶を頼まれたりした場合、お客様の顔を見ないで、ネクタイあたりとお客様の手元のみを見て出している。


男性の場合は要注意だ。
もちろん、今日もいつも通りしたつもり。



お茶を出して、すぐに部屋を後にした。
「ねえ。どんな感じのひとだった?新しい弁護士先生は?」

『すいません。あんまり顔を見てないので、分かりませんが、若い感じの方だと思います』

「そんなの分かってるって…ユリちゃんは相変わらず、男に免疫ないんだから…」


そう言われても…お茶を出すように言われただけで、顔を見てくるように言われてないし。

そんなにじろじろ見てたら、本人だって気分悪いだろうし…



そんな思いを胸に私はいつものようにデスクに座り仕事を始めた。
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