止まない雨はない
「あの…
 笠原さん、また食事に誘ってもいいですか?
 もちろん、無理なら断ってくださって結構ですから…」


『はい…でも、望月さんは私と食事を…その…しても楽しくはないですよね』


分かっている。自分でも分かっている。

話すこともきちんとできなくて、聞かれたことに答えるくらいしかできない私とまた食事に行きたいとは考えにくい。
きっと私の事をかわいそうな子だと思われているんだと…



「笠原さん?楽しいですよ。さっき面白い方だと言いましたよね。
 それに、私はいい人ではありませんよ。
 他人のために自分を犠牲にするような人間じゃないですから… 
 仕事以外では、自分中心に世の中が回っているんだって考えている位ですから…」



『ぷっ…あっ、すいません
 面白いのは望月さんのほうですよ。
 自分の事をそんな独裁者のように言う人は聞いたことないですよ。』


「そんな風に笑うんですね。
 初めて見ました。」


『えっ?…ごめんなさい。笑ってしまって。』


「違う。違います。
 かわいらしい笑顔だと言ったんですよ。
 あなたは笑顔がすてきだ。
 って、こんなこと言ったらひかれますよね…」


『そんなこと…』
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