止まない雨はない
私はなんと言ったらいいのか分からなかった。

こんなときどんな事を言えばいいのかすら分からない。

かおりちゃんとかならすぐにいい言葉が言えるのだろうけど…
私の対男性は中学から止まったままだから。


「笠原さん…また会えますか?」


『…はい。私で良かったら』
私は下を向いたまま答えた。
恥ずかしい…きっと私の顔は真っ赤になっているのだろう。



「良かった。また、おいしいものを食べに行きましょうね。
 それから…笠原さん。お名前ですが、ゆりさんとお呼びしてもいいですか?
 もちろん私の事も恭哉で構いませんから。
 何だか仕事をしているみたいに感じるから…」


『えっ?…』


男の人から下の名前で呼ばれるのは、あの時以来だ。
家族は“ゆう”と呼ぶし…
恥ずかしい…


「ダ・メ・ですか?」


『いっいえ。…ダメじゃないです。なれないだけです…
 望月さん…恭哉さんでいいですか?』
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