止まない雨はない
「たとえば、小さな子供が公園でつまずいて顔から転んだとするでしょ。
 初めての事だと、泣いてそのまま立ち上がることができない。
 そこで、立ち上がり方やこうしていたから転んだのだっていうことを学習する。

 そして、また同じように転びそうになる。

 人間は意識せずに前回の事を思い出す。だから転ばないようにたとえば手を先に出して支えようとしたり、転んでも起き上がる術を持っている。
 これはいいことの例よね。


 それと同じで、同じような場面に遭遇した時、同じような結果になるのではないかと不安に感じる。それがこれ。トラウマってものだと私は思うわ。


 私は心療科の勉強をしたわけでもなんでもないから、個人的な考え方。
 私が思っていることだから、正解ではないかもしれない… 
 でも、本人が抱えて苦しんで生きていくってことには間違いはないわ…」


「そうか…」


「って何よ。久しぶりに熱く語ったじゃないの…
いったいどうしたのよ。
らしくないね。」
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