止まない雨はない
「…長いぞ。…話しまとまってねえぞ。
俺自身がわかんねぇーんだから。
それでも聞くか?」


「ええ。もちろんよ。
じゃあ、聞く前に、同じものいただこうかな…」


かおりは、笑顔を俺に向けバーテンにおかわりを注文する。




「俺が、女を信用していないってことお前も良くしってるよな。
まあ、今でも変わりないんだが…

ただ、つい最近知り合いになった女がいる。
なんだか、目が離せないっていうか…
俺の心になかに入ってきて出て行かねえんだよ。

美人って感じより、女の子って感じの子なんだけどな。
その子、俺のバックグランドを話してもまったく興味も示さなかった。
それどころか、その子の瞳が揺れたのはお袋が他界しているって話をした時だけ。

いつもとまったく違うし…調子狂うっていうか…
話を直接したのだって今日を入れて二回しかねえのに、
今日だって俺から飯に誘ってた…


その子がさ…言うんだよ。
男が苦手だって。二人で飯食ったのが初めてだって…
前進できたって喜ぶんだよ。


その顔見たら、なんかモヤモヤするっていうか…イライラするっていうか…
良くわかんねぇんだよ。


なっ。良く分かんねえだろ。俺自身が分かんねえんだから、説明を求めるなよ。」


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