形見
問い詰めれば、要に泣いてほしくないのだと、自分が泣きそうになりながら十希は言った。
親を見れば帰りたくなる。
十希は要を帰したくないのだ。
要に見つからないよう、こっそり来るように親には伝えたそうだ。
要が覚えている姿より、七年老けているはずの両親。
女装して男の膝に抱かれる息子に、まだ会いに来てくれているだろうか……。
「ねえ、要、こっち向いてよ」
拗ねた声に、要は人の群れから視線を上げた。
「呼んでるのに」
むうっ、と膨れるヒトガタがいた。