形見


「誰見てたの」



尖らせた口元が可愛らしくて、要は笑った。



「なんとなく……な。こう、ぼんやりと」



「わかんない。答えになってないよ要」



ぎゅ、と自分を抱き締める力が強くなる。



十希の体温が、振り袖に染みる。



どっか行ったりしないでよね、と囁かれた。



「だから、今さらどっか行かないよ」





顔が近い。



白い髪が要の胸元にこぼれかかる。




頬に、慈しむように、温かな唇がそっと触れた。



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