マーブル色の太陽

僕は体の傷が癒えると、江口さんの家を訪ねた。

江口さんはやはり焼死体で見つかり、歯の治療痕でようやく本人だと確認された。

それほど酷かったらしい。



僕は江口さんの両親に、ビニールに入ったあの髪を渡す。

両親はその髪を受け取ると、しばらくそれをじっと見つめ、ゆっくりとビニール越しに撫でた。

そして、僕の方を見ると、江口さんにそっくりな目を細めながら「ありがとう」と一言だけ言ってくれた。

僕は口を開けば泣いてしまいそうで、仏壇に手を合わせ、いちごサンドクッキーを置いて、江口さんの家を後にした。
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