ウシロスガタ 【完】
雨に打たれながら、震え続ける冷夏の肩を強く抱きしめていた。


離してしまったら、



もう2度と冷夏が俺の傍に戻って来なくなりそうで、



俺は、ただただ抱きしめ続けた。



「冷夏、泣いていいよ、俺が傍にいるから……」




本当は自分だって壊れてしまいそうなのに、それでも冷夏の苦しみを少しでも分かりあえたなら……



そう思い続けている俺がいて……




声を上げて泣き始めた冷夏の背中をさすっていた。




「冷夏ね……」



「うん」



その言葉と共に、冷夏は壊れた人形のようにガタガタ震えだした。




「おい!冷夏っ!!おいっ!!」





体をおもいっきり押さえてもなかなか治まらない冷夏の震えに俺は言葉を失っていた。
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