ウシロスガタ 【完】
冷夏が、体育座りのように足を抱えこんでる姿から目をそらそうとした時に、俺の視線は冷夏の足首へと自然に向けられていた。
“ミサンガ”
冷夏の足首にそれは、まだちゃんとついているのか。
――――――――――
『だけどさ、これって別れたら取ってね?』
『いや、でも別れても好きなうちは取れねぇ~よ』
『冷夏も♪好きなうちはずっと取らない~!!』
『じゃ、ずっとじゃん?』
『翔クンもじゃん!!』
『おじいチャンになってもつけてるわ』
『冷夏も、おばあチャンになってもつけてる』
――――――――――
目の前にいる冷夏を見ながらも、なぜだか俺の頭の中には、
そう、あの時笑いながら幸せそうに微笑んでいた冷夏が浮かび、
同一人物と一緒にいるとは思えないくらい
距離があり
笑顔がなく
そして、冷たい空気が漂っていた。
だけど、足首には、まだちゃんとミサンガがつけられていた。
俺の視線に気付いた冷夏は俺を見るなり少しだけ微笑み、また新しく運ばれてきた酒に手を伸ばし流し込むように飲み干した。
「トイレ行ってくる……」
冷夏が重そうな腰を上げ、足元がふらついてる姿を見て、イライラするばかりで髪をグシャグシャにした。
“アイツ、飲みすぎだろ…”
苛立ちを抑えきれない俺の姿を見て、恵梨は俺の方を見ながら大きなため息をついていた。
“ミサンガ”
冷夏の足首にそれは、まだちゃんとついているのか。
――――――――――
『だけどさ、これって別れたら取ってね?』
『いや、でも別れても好きなうちは取れねぇ~よ』
『冷夏も♪好きなうちはずっと取らない~!!』
『じゃ、ずっとじゃん?』
『翔クンもじゃん!!』
『おじいチャンになってもつけてるわ』
『冷夏も、おばあチャンになってもつけてる』
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目の前にいる冷夏を見ながらも、なぜだか俺の頭の中には、
そう、あの時笑いながら幸せそうに微笑んでいた冷夏が浮かび、
同一人物と一緒にいるとは思えないくらい
距離があり
笑顔がなく
そして、冷たい空気が漂っていた。
だけど、足首には、まだちゃんとミサンガがつけられていた。
俺の視線に気付いた冷夏は俺を見るなり少しだけ微笑み、また新しく運ばれてきた酒に手を伸ばし流し込むように飲み干した。
「トイレ行ってくる……」
冷夏が重そうな腰を上げ、足元がふらついてる姿を見て、イライラするばかりで髪をグシャグシャにした。
“アイツ、飲みすぎだろ…”
苛立ちを抑えきれない俺の姿を見て、恵梨は俺の方を見ながら大きなため息をついていた。