冷たい世界の温かい者達
『……っ‼』
「じっとしろよ」
歯を立てて吸う。
血の匂いが鼻について眉を寄せるが、口を離して吐くと、血独特の黒々しい赤が土に滲んでいた。
「大丈夫か?!」
肩を掴んで顔を覗き込むと、由薇は呆れたように腕を押さえていた。
『バカが。
ここに毒を持つ蛇はいない』
「……」
「ブフッ、朔の早とちり~」
衣緒はゲラゲラと笑いながら俺を指差していた。
だけど……本当に、死にたい。
俯くと、頭を小さな手にくしゃくしゃっと撫でられた。
『ありがとな』
優しい由薇の声は、何だかくすぐったくて…母親みたいだった。
「今日はサッサと帰ろうか」
千尋がそう言って、また別荘への道を戻り始めた。
由薇も平気そうだった。
別荘に戻ると、由薇の作ったカツ丼を夕飯にして食べて、各自部屋でゴロゴロしていた。