冷たい世界の温かい者達
夏にしては冷たい風が髪を払った時、由薇ちんは口を開いた。
『衣緒は偉いよ』
ザァ、と木々を揺らす程の風が肌に当たってその部分から壊されそうだった。
『頑張ったんだよ、単純に。
親にも…どうせ、女の人を近寄らせないでって言っただけで明るく振る舞ってるんだろう?』
当てていくように的確なところを突いてくる由薇ちんに目のあたりが熱くなった。
『…よく頑張った』
………そうやって、言われたかったのかもしれない。
いつも、バカみたいに明るく振る舞っても誰も気づかなかった。
傷ついた心なんて見えてなかった。
なのに。
ボロボロと零れる涙を止めようと唇を噛む。
『我慢するな』
そっと僕の唇に這わせた手を、由薇ちんは無理矢理歯を外すように動かした。
「う、ぐ……あ…………」
でも、やっぱり僕も男の子だからさ。
声を出して泣くのは恥ずかしいから。
由薇ちんの体を抱き寄せてその華奢な肩に顔をうずめて泣いた。
温かい腕は、僕の心をほぐすのには効果が強すぎた。