冷たい世界の温かい者達
『……何をどうしてほしいんだよ』
しつこく押していると、由薇はとうとう折れた。
しかし、ここまで粘った衣緒に拍手を送りたい。
絶対やんねぇけど。
「行ってくれるんだねっ?!
なら、話は早いっ!」
……その話までの会話が長かったけどな。
衣緒は、とっておきの秘密をばらすかのように溜めに溜めてイラつき出したころに言葉を発した。
「ふふっ、由薇ちんをイメージして浴衣作ったんだ! 僕が!」
………………
『……へ、ぇ。』
確かに、そんな反応しか出来ないことを溜めに溜めて言われたら眉間にシワも寄るだろう。
由薇の眉間は薄らと眉間が浅くできていた。
苦笑してそれを見ながらも衣緒は気にせず話を続ける。
……まったく、根性のある奴だ。
「だから、着てほしいんだ!
僕が初めてデザインした服だから」
最後の一言は、少し儚げに小さな声になっていた。
まぁ、幹部は全員知っている。
衣緒は、デザインなどの仕事をしたがらなかった。
千尋も成一もそうだが、あまり家業自体が好きではないらしい。
……由薇、のおかげだろうか。
少し笑みが零れている成一は親の様な目を衣緒に向けていた。