冷たい世界の温かい者達
『……しょうがないから着てやる』
衣緒の声色を聞いた由薇は薄らと笑って頷いた。
衣緒はそれに涙を流しそうなほど喜んだ。
「僕、1ヶ月かけて作ったんだ」
『…サイズ合わなかった、とかやめろよ』
「だいじょーぶ!
由薇ちんを何の為に抱きしめてたと思ってるの?」
……私欲の為だろ。
そう言いたかったが、由薇の引き攣った頬を見ると、その言葉だけでも効いたんだろう。
千尋も、パソコンを見てるフリをしながらチラッと由薇を見て笑っていた。
『あ、うん……もう、近寄らないでくれ』
「えぇ?! 胸大っきくなったらはかんなきゃじゃん!
まぁ、大っきくなることはないだろうけど!」
その瞬間、由薇はガラステーブルを蹴って向かいに座る衣緒の足と、ついでに成一の足に思いっきり当てた。
「いったぁぁぁああぁあ‼」
「いってぇ‼ ぇ、俺無実‼」
『隣に居るのが悪い‼』
「何その屁理屈?!」
『貧乳って言うんじゃねぇ‼』
「言ってねぇよ‼」
ギャーギャーと騒ぎ出したのをBGMに、影助は諦めた様に寝出して、千尋もパソコンを打ち始めた。
俺も五月蝿いものの、心地いい声等を聞きながら意識を落とした。
ここは、居心地のいい場所になれたか?
ーーー影助。